自動車を整備していくなかで必要な技術といえば、部品を交換する技術、溶接や分解オーバーホールなどの修理技術、お客様のご要望を正確に
聞き取り把握する問診技術、車両の故障個所を判定する故障診断技術等が主なところだと思いますが、
今回はその中でも故障診断について少し書かせていただこうと思います。
一昔前の70年代以前は車両の電子制御部品があまり使われておらず、それこそ整備士の経験、技術、勘、等が必須でしたが、
それ以降は電子制御部品(デジタル制御)の普及により少しずつ変化していくことになります。
まず80年代に米国カリフォルニアで自動車の大気汚染防止の為に義務付けられたOBD規制の導入です。
OBDとは(ON-BOARD-DIAGNOSTIC-SYSTEM)の略で車載式故障診断装置のことです。
OBDの主な目的としては、
① 排出ガス発散防止装置の異常検知・監視
② 異常発生時に警報を表示(エンジンチェックランプ)し、運転者に知らせる
③ 故障内容を車両が記憶する
というものですが、OBDではまだまだ正確な故障個所等は判別出来ませんでした。
その後2000年代に入ると更に高精度な故障検出が可能になったOBD-Ⅱが採用され、日本ではJ-OBDⅡとして平成20年10月の新型車から装備が義務付けられました。
OBD-Ⅱになり今まで簡易的だった故障診断がさらに正確に診断できるようになっていきます。
そしてそれまでは電子機器を修理、診断するうえでサーキットテスタ、オシロスコープ等が主な診断ツールでしたが、
車載式故障診断装置の情報を読み取るためのスキャンツールが普及していくことになります。
そして最近になり特定整備の為の法改正により令和6年10月からは車検時のOBD検査が開始されます。
こういった背景から、現代整備士にはサーキットテスタやオシロスコープはもちろんスキャンツールを使いこなす知識や技術が故障診断を行う上で必須の技術となっています。
しかし結局は故障診断の後には、交換や修理、調整といった作業が必要になることから従来の技術もないがしろにしてはいけないし、
いまだに昔ながらの経験、整備士の勘、といったものも当然必要となってきます。
上記の通り、現代整備士に求められるスキルは多岐にわたるので、当社では社外での講習の参加はもちろん社内研修にも力をいれています。
そしてスキャンツールなどの必須機器に関しても最新のものを導入し、整備士の業務の効率化を図っています。
当社のスキャンツール等に関してはまた違う機会に紹介させていただきます。